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Posted: 7 Sep, 2021 @ 3:25am
Updated: 7 Sep, 2021 @ 4:00am

横スクロールアクションゲームの中でも探索要素の濃いジャンルである 「メトロイドヴァニア」。その語源となった『悪魔城ドラキュラ』シリーズの 精神的後継にあたる作品。プレイした感想を端的に言えば、"圧倒的に好評"(95%以上好評)という評価も頷ける、非常に密度の高い傑作だった。

クリアまでの所要時間は探索や強化要素をじっくりとやって30時間程度。サクサクと進めればおよそ20~25時間に収まると思われる。本編クリア後も全実績解除に向けた収集要素や引き継ぎありの周回、様々なエクストラモード、2人の全く異なるプレイアブルキャラクターなど多くのコンテンツが用意されており、総合的にはかなりボリュームのある作品になっている。

良い点
✓ うまく詰め込まれた非常に多彩な要素
✓ アクションが苦手でもなんとかなる程よい難易度
✓ クリア後のやりこみとそれに見合った報酬
✓ 知りたい情報をすぐに確認できる高いアクセシビリティ
✓ エリアごとの印象的なBGM
✓ 2.5Dを活かした様々な演出

悪い点
✗ 序盤に顕著な武器バランスの悪さ
✗ 一部アイテムの極端な入手性の悪さ

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本家メトロイドヴァニア
システムとしてはオールドスクールな「メトロイドヴァニア」。マップを自由に探索し、敵を倒してアイテムの収集や能力の強化を行い、そして徐々に探索可能範囲を広げていくというもの。流石に語源となったゲームの後継作なだけあって、シンプルなシステムでありつつも完成度は高く、最も重きを置かれているであろう "探索" の楽しさは折り紙付きである。

また、本作の特徴的なシステムとして豊富に用意された「シャード」と呼ばれる攻撃手段がある。これはMPを消費して発動する魔法のようなもので、ゲームに登場するほぼすべての敵からそれぞれ違う種類のシャードを入手することが出来る。

詰め込まれつつも纏め上げられた多彩な要素
本作は戦闘、強化、探索といったゲームの基本サイクルをうまく絡ませつつ、さらにそれぞれを細かい要素によって補強している。各武器種に複数用意されたコマンド入力による必殺技、敵を倒すことで得られる多様なシャード、錬成や調理といったクラフト要素、消費アイテムやレベルアップによるステータスの強化、その他サイドクエスト等々——。探索を進めるごとにこういった要素が次々と現れるため、次はどんな能力やアイテムが得られるのかと期待に胸を膨らませつつ、全く飽きることなく最後までプレイすることができた。

探索を進めるに連れてプレイヤーの移動能力もどんどん強化されていくため、広いマップでも移動の不便さをそれほど感じなかった点も評価したい。各エリアの繋がりなどもよく考えられており、序盤では行き来に時間がかかった場所でも、能力が強化された終盤では短時間での往来が可能になることが多かった。

また、本編クリア後、アイテムの収集やクエストの全制覇といったやりこみ要素を進めていくと、報酬としていくつか非常に強力な装備を入手できる。個人的には色々とやりきった後に自由に暴れてみたくなるゲーマーの気持ちをわかってるなぁと感心した。他にもキャラクターの髪型や色を変更可能だったり、隠しボスがいたりと、とにかく本編以外にも楽しめる要素が色々と詰まっている。

多数の成長要素と適度な難易度
本作ではキャラクターレベルの上昇や消費アイテムによる各ステータスの永続的なバフ、シャードのランクやグレード、使い魔のレベル等々、成長・強化といった要素がかなり多い。これらは被ダメージや与ダメージに大きく影響するため、最初は倒すのが難しく感じるようなボスでも、十分にレベルを上げてから戦えば拍子抜けするほど簡単に倒せるようにもなる。良く言えば万人向け、悪く言えば大雑把な調整ではあるが、ある程度プレイヤー側で難易度の調整が効くため、裾野を広げるという意味でも概ね良いシステムであると思う。

不満点など
プレイしていて特に顕著に感じられたのは、武器バランスの悪さである。やり込んで装備が揃ってくるとどの武器種でも割と使える平坦なバランスになるのだが、ストーリー中は一部の武器種以外はほぼ出番がなかった。ゲームデザイン上あえてそうしているような印象も受けたが、特に銃は弾のコストの高さから常用は叶わず、その辺りを改善できる頃には強力な遠距離攻撃手段のシャードを連発できるようになっていたため、もはや出番はなく不遇だった。

また、いくつか調理や錬成に必要なアイテムの入手性が極端に悪いのも気になった。クリアに必要なものではないためやりこみ要素の一部という扱いなのだろうが、延々とエリア移動を繰り返しながら敵のレアドロップを狙うのは流石に虚無を感じた。

総評
細かな荒や不満点はあれど、「メトロイドヴァニア」を期待するプレイヤーにとってこれほど響く作品もそうないだろうと思う。ゲームプレイについては言わずもがな、マップ全体に漂うゴシックな雰囲気や印象的なBGMも素晴らしかった。発売から2年たった今、僅かではあるが続編に関する話も出ているようなので、スタジオの今後に期待したい。
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