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315.5 hrs on record (310.1 hrs at review time)
1518年――エルナン・コルテスが三度目の南アメリカ本土探検隊隊長に選ばれ、アステカ帝国を征服する以前の年。
だがその日がやってくることはないだろう。なぜなら彼より先にあなたが征服するからだ。

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Expeditions: Conquistador はそのタイトルが示すとおりの新大陸探検サバイバル&征服ストラテジー。10名からの隊員を率いるコンキスタドールとして、史実ではスペインのコルテスが行ったアステカ帝国探検・征服を体験するゲームである。
歴史を基にしたゲームではあるがコルテスの足跡をそのままなぞるものではなく、プレイヤーキャラは架空の人物である。他にも1518年より前に大規模なメキシコ探検を行い失敗して行方不明となった人物がいたり、原住民の勢力図がアステカとトトナカの二大勢力の対立という形に改変・単純化されていたりと史実との相違は多いが、スペイン人視点の物語としてはおおむね歴史に対して真摯に向き合っているといえる。

ゲームシステムは基本的には洋RPG的なフィールド探検モードとヘックスのターン制ストラテジーである戦闘モードに分かれている、King's Bounty などに似た作りである。しかしながら探検・サバイバルという本作のゲーム目的のため、実際はかなり独特なものになっている。
本作の主要素である探検だが、スタート時の地図は海岸線以外は全く不明な状態であり、未開のジャングルを探検していくというもの。この感覚は実際にプレイしていただかないと伝わらないとは思うが、これが非常に探検している感が出ていてとても楽しい。地理は必ずしも正確ではないが(特にメキシコ編の地理は大胆に改変されている)、それだけにゲーム的な探検の楽しみがあるというもの。
そして未開で危険なジャングルを探索するにあたって、プレイヤーは探検隊の隊長として食糧(Rations)・薬剤(Medicine)・財貨(Valuables)を管理し、隊員の士気・健康維持に気を配りながらサバイバルしなくてはならない。食料を切らせば士気が下がるし、戦闘やイベントで負傷した場合は薬剤を消費して治療するまで戦力から外れ、放置していると最悪死亡してしまう。これが難易度が高いとなかなかシビアで、財貨をできるだけ節約しながらやりくりしていく必要がある。これらの物資は財貨で購入するほか探検中にも手に入るが、隊長(プレイヤーキャラ)の能力や選んだ隊員のプロフェッションによって入手量が変わってくるので、自分なりの部隊運営を模索するのも楽しみのひとつである。
手に入れた財貨を惜しみなく消耗品購入に充てれば進行に困ることはなくなるだろうが、未到達地の探検・征服だけでなく、より多くの金銀財宝をスペイン本国に持ち帰ることもコンキスタドールとしての使命の一つであることを忘れてはならない(5万以上のValuablesを本国に持ち帰る、というSteam実績があります)。
またヘックスの戦闘についても、とくに革新的なものではないが、AIの甘さは多少あれどストラテジーとして難易度が低いものではないし、マップの使い回しは(多分)一切ないので毎回新しい地形で戦えたりと堅実で良質な作りである。

このようにシステム面だけでも大変魅力的なのだが、我々歴史好きにとっての本作最大の特色は、まさにコンキスタドールを題材とした点にある。まずコンキスタドールを主役とした新大陸征服ゲーム自体(知る限り)他に例がなく希少であるが、本作はそればかりでなくヒストリカルな文脈や雰囲気をとても重んじているのだ。
新大陸征服の歴史というものは、ミクロかつ近現代人的な視点で見れば、原住民を人間扱いせず、騙し、略奪し、土地を奪い、時には虐殺するという残虐行為そのものであるが、本作はそれを美化することも貶めることもなく、歴史上の出来事としてそのまままっすぐに扱っている(残虐行為を行う際に差別者としての立場を言い訳がましく強調したり、謎の近代的ヒューマニストが出てきて普遍的人権を説いたりということがない)。こうしたスタイルのおかげで、原住民の村を焼き払い、略奪の限りを尽くすといった行為が、よくある「悪人ロールプレイ」のような露悪的なものではなく、当時の西洋人と同様に罪悪感も開き直り的な昂揚もなくごく自然に行えるのだ。

こうした歴史の描き方はParadox社のゲームなどとも共通しているが、本作の場合はその描写自体がゲームの根本をなしている点が違っている。例えばパラドゲーの場合、植民のために原住民を皆殺しにしたり、逆進課税で労働者階級から搾り取ったりという行為はあくまで帝国運営の一要素にすぎないため、無感動な描き方もある意味当然ではあるが、本作はプレイヤー自身がコンキスタドールとして人間と直接向き合っている点が特別である。
この歴史を描く上での自然な醜悪さという感覚は歴史小説などではよく見られるが、歴史ゲームとしては希少であり、特に本作の表現技法は本当にすばらしい。こうしたゲームがこれからも増えてくれることを望んでやまない。

長くなってしまったが、個人的にはここ数年で一番の衝撃を受けたゲームかもしれない。歴史が好き、歴史ゲームが好きな人には心からおすすめできる作品である。
どうかひとりでも多くの方に遊んでいただき、本作のような良質な歴史ゲームの理解者となってほしい。このレビューがその一助となれば幸いである。

追記: 私家日本語版が仮完成しました。詳細はこちらのページ[invalid-gamer.blogspot.jp]をご参照ください。
Posted 28 May, 2014. Last edited 22 September, 2016.
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60.2 hrs on record (56.1 hrs at review time)
近世ヨーロッパ風ファンタジー世界を舞台にした育成ゲーム。
14歳にして母である女王を亡くした王太女Elodieが15歳の誕生日に成人として即位するまでの1年の間、王としての勉強に励む。基本は週ごとに彼女に学ばせたい学習内容を指定して学習させ、週ごとのイベントの後に週末の過ごし方を決定してムード(Elodieの気分。学習効率に影響)を操作することの繰り返し。ゲーム終了までの期間は40週であり、この一週間のサイクルを繰り返し無事に40週を生き残ればクリアとなる。

このゲームの一筋縄でいかないところは、アートスタイルの第一印象に反して極めて政治的な中世ないし近世の宮廷をモチーフにしている点である。
かつて隆盛を誇ったNova帝国もある事件を境に衰退し、現在のNova王国の王権は非常に弱い。国王は直轄領として川中の小さな島を一つ持つのみであり、残りの国土は11の公爵領に分割され、国土の東半分は王権に敵対的な公爵の一族が勢力を保っている。国外に目を向ければNovaに友好的な国は少なく、南東のTalasse国を除けば公然と敵対的であるか、あるいは何かしらの紛争を抱えている。そうした政治的状況のもと、戴冠式前とはいえ法制上は女王(The Queen is dead, long live the Queen! ってやつである)のElodieは自らの意志によって様々な判断を下さねばならない。

能力の不足や選択の失敗はすなわち死につながる。これは大げさな表現ではなく、多くのプレイヤーは初プレイで40週を生き延びることは叶わずどこかでつまずくことになるだろう。
公爵らが女王に忠誠を誓ってみせるのは封建契約の遵守のために過ぎず、こちらが封主としてあるまじき振る舞いをすれば当然反発を招くし、場合によっては王位を追われることになる。貴族らにとっても即位前で王権が弱い今は勢力拡大のチャンスなのだ。
あるいは現女王を害することで直接的な利益がある身分の者は、その利益に相応するほどの酬いがなければ、即位前でガードが甘い今だからこそ、なりふり構わずElodieの命を狙ってくるだろう。どうしても外せない用事で出かけた際に突然暗殺者に襲われたとき、頼れるのはそれまでに鍛えてきた己の能力だけなのだ。
このような魑魅魍魎の巣食う宮廷の中で、Elodieにとって心から信用してよいのは元王配であり彼女の父親であるCaloris公Joslynのみである。何故彼なら信用できるのか? それは家族の情などではない。彼は王家と血縁がなく、彼とその親族は王位継承権を持たないため、女王の父としてElodieを立てる利益は多々あれど、害して得られる利益はほとんどないからだ。未だ子供であるElodieにそこまでの理解が及んでいるとは思えないが、少なくともプレイヤーはそういう心づもりでElodieを導かねばならない。

全てのイベントの成否はスキルの過不足や今までの選択の結果生まれた政治的状況、あるいは隠しパラメータなどといった要素で決定され、ランダム要素は一切ない。またスキルの学習にも数週先を見越したムードの操作が必要になるため、ただ闇雲に好きなスキルを学習するだけとはいかず、結構な戦略性がある。
初見では難しいだろうが、ただ40週を生き延びるだけならいくつかのいかにも国王らしいスキル(どれとはいいませんが)を最優先で学習し、選択肢の政治性に注意して進めれば特に問題なかったりする。
とはいえゲームの目的はそれだけにとどまらず、Elodieがどう生きるか、どういう人間に育てるかという点も楽しみの一つであろう。女王らしい女王として君臨したり、陰謀を駆使して生き残ったり、魔法を極めて立ちはだかる様々な困難を排除したり(実際便利)、軍人女王として敵を皆殺しにしてみたり、という具合である。
一度死んだり王位を追われてみれば、何のスキルを学習してどういう選択をしておけば先に進めたかはなんとなくわかるはずだし、それらを乗り越えて最後まで生き延びてみれば、別のスキルを学習したり別の選択を取っていたらどういう展開になっただろうということが気になってくるはずである。ゲーム一周あたりの文章量はそれほどではないが、全体のテキスト量は膨大であり、どのイベントも興味深いものなのでハマれば長く楽しめる。分かりやすい目標は実績全解除だろう。エピローグの全回収は実績に含まれていないが、その時点で大半のエピローグと全ての死に様と9割がたのイベントは見たことになるはずで、恐らく30~40時間程度はかかると思われる。

kawaiiアートスタイルに騙されてはいけない、というような忠告はプレイヤーが感じるそういうギャップも恐らく織り込み済みだろうことを考えると野暮というものだろう。とはいえ実際このアートスタイルのおかげでゲームシステムのハードコアぶりに反してかなり入り込みやすいゲームとなっている。とても地味なゲームではあるが、こういった雰囲気のゲームが好きで、文章を楽しめて数字の上下との格闘が苦にならない人にはおすすめ。

LONG LIVE THE QUEEN!

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なおアドバイスとして、最初のうちは死にゲー的に苦戦するでしょうが、まずは歴史系・諜報系の勉強を優先的に行い、学習結果のテキストやイベント中に能力値に応じて得られる情報(Lillah女公Arisseは王国東部の大部分を一族で支配し……のような)をメモしておくことを推奨します。
また開発者作成の地図と、手前味噌ながらゲーム内テキストから作成した家系図(若干のネタバレを含みます)を適宜参照されると理解が捗るかもしれません。
Map of Nova[www.hanakogames.com]
http://gtm.steamproxy.vip/sharedfiles/filedetails/?id=212836828
Posted 15 February, 2014. Last edited 15 February, 2014.
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9.0 hrs on record (7.6 hrs at review time)
記憶旅行アドベンチャーゲーム。
人の記憶を操作する技術が確立した半世紀ほど先(俺推定)の近未来、死にゆく人々の記憶を操作し彼らの達成できなかった望みを(操作された記憶の中で)叶えてやり、死に臨んでの心残りを解消する、という業務に就く技術者の二人が「月へ行く」という老人の望みを叶えるために彼の記憶を辿っていくという話。

ゲームの出発点として提起される問題はその老人の望みにある。老人の望みは「月へ行く」ことではあるが、何故月に行きたいと思ったのかは彼自身も覚えていないという。記憶を操作して望みを叶えるにしても、老人自身が納得できる記憶を生成するにはその動機から出発して説得力のある物語をつくらねばならない。かくして技術者の二人は老人が月に憧れるようになったきっかけを探すため、老人の記憶を彼が健在だった頃の最も新しい記憶から過去の方へと順に辿っていくことになる。
「私のプライバシーはどうなるのだ?」とは老人の言であるが、その心配もごもっともで彼らは老人の人生に深い影響を与えた記憶をピンポイントに覗き見ていくわけで、まったく厭な仕事もあったものである。

物語としては老人とその亡き妻との関係を軸に、老人の「月」への憧れの原点を探るため、それにまつわると思われる謎を一つ一つ解いていくという形式で老人の人生を現在から子供時代まで逆方向にたどっていく話である。その中では一見「月」とは関係しないような謎がいくつも出てくる。それらの大半は話の中で個別に解決されていくのだが、といってそれらが物語の筋に全く関係しないわけではなく、それぞれの謎自体に深い感動があるし、また「月」とは直接関係なくとも老人の人生にクリティカルに関わる謎もあり、複数の謎が並行して進むこともあって話の展開に飽きることはない。
一人の老人の人生というただ一つの物語の柱をたどる中で、いくつもの謎がプレイヤーを飽きさせないよう立ち代りあらわれ、それら複数の謎が最終的に「月」という一点に繋がる展開はとてもよくできている。謎解き自体は話の展開の一環でありプレイヤーが主体的に取り組む性格のものではないが、その老人の記憶という物語の中で、技術者としてのプレイヤーは第三者に過ぎない記憶の閲覧者であるとともに問題の解決のために努力する主人公でもあり、プレイヤーが気になる物語上の謎はすなわち主人公が解決すべき問題という構図でもある。
物語全体としての印象は上品で美しく、格調高いピアノ調の音楽もゲームの雰囲気に貢献しているが、その一方で常にマイペースを崩さない技術者二人のコミカルな掛け合いのおかげで上品さに厭味がなく取っつきやすい。老人の人生そのものである物語とあくまで俯瞰的な立場の技術者(=プレイヤー)の視点との違いが強調される構図であり、老人の話だけ切り出せばどこか地に足のつかないような曖昧な印象のある物語でありながら、俯瞰的な閲覧者の立場に立つことで話に入り込みやすい作りとなっている。
この話はあくまで一人の老人の物語であるため登場人物はそれほど多くはないし、それぞれの人間的魅力をくどく強調するような話の作りでもないが、技術者の二人はいうまでもなく魅力的だし、少なくともプレイヤーが閲覧できる老人の記憶の中には不快な人間が一人として出てくることがないので人間関係でストレスがたまることもない。ついでに書いておくと魅力ある登場人物といえば老人の妻であるメインヒロインのRiver女史であるが、こういう一般社会で生きづらそうな人は個人的に大好きです。

アドベンチャーゲームとしてまず評価するべきは話の展開だろうし、その点では(物語の受け手としての個人的な感性として)全体的にとても良いゲームであったといえるが、一つのゲームのレビューとして不満な点を挙げようと思えば挙げられないこともない。
ゲームエンジンに『RPGツクール』を用いてレトロ風なデザインにしたのは効果を狙ってのことだろうが、どうにも操作性の悪さが目立って個人的にはイマイチだった(移動の遅さとか移動可能範囲が分かりにくくて変なオブジェに引っかかったりとか)。ともあれこの点はゲーム性より物語性に着目すべきというゲームとしての性格を理解すれば許容できる範囲ではある。
肝心の物語としては、全体的には好みの話であったが、 あえていえば終盤のRosalene博士の行動にはWatts博士よろしく憤りを感じたし、このような手段を通じた記憶の改変は老人にとって本当に幸福なのか、なによりこれでは彼の人生の中で出会った多くの人々の人格を否定しているも同然ではないか、 という疑問がクリア後も強く残った。まあ洋物でありがちな続編を匂わす終わり方だったので、こういった引っかかりも後々の作品で解消されていくものと期待したい。

日本語対応についてはあまりこういう事情に詳しくないのでアレだが、どうも権利を持つPlayismさんが自サイトでの独占配信という形で対応しているらしく、Steam版に日本語はないようで(なお他の言語の多くはSteamで対応している模様)。日本語話者向けに日本語で書いたSteamでのおすすめとして適切なのかは微妙だが、Steam版としてもそれほど難しい英語は用いられてないので苦手意識がなければぜひ遊んでもらいたいし、一つのゲームとして言語は何であれプレイヤーが遊べるのであれば体験してほしいので――未プレイなので諸手を挙げてというわけにはいかないが――日本語版についても一応次点としておすすめしたい。

アドベンチャーゲームの基本的性格としてゲームの良し悪しは第一にその物語を気に入るかどうかにかかるという面があり、いくら長文で自分の気に入った点を並べ立てても結局は受け手側の好みに大きく左右される話ではあるのだが、先に述べた通り話の作りとして受け手側が不快に感じかねない要素が極力少ない作りの上、じっくり遊んでも完走まで8時間もかからない話の凝縮ぶりと定価10ドルという手頃さもあり、ハズレだったとしても損失が少ないのでおすすめしやすい作品。私個人の好みでいえば重ねていうまでもなく心からおすすめです。
Posted 14 February, 2014.
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32.1 hrs on record (6.1 hrs at review time)
外見通りの2Dアクションゲーム。公式的にはローグライクではなく「軽量版ローグ(rogue-"LITE" )」らしい。
基本的にはダンジョンランダム生成で死んだら最初からというよくある2Dアクションだが、特徴的なのは代替わりの概念を導入していること。
これはプレイ中のキャラが獲得したカネや装備、強化した能力などを死亡時に次のキャラへ引き継ぐシステムだが、このシステムの何よりの特色は、どんなにアクションが下手なプレイヤー(わたしです)でも相続の積み重ねによって少しずつゲームが楽になっていくことである。
難易度制ではプレイヤーが下手でも難易度を下げることは心理的に抵抗があったり、ペナルティがあって実質的に選べなかったりするが、このシステムにより下手な人はコツコツと、上手い人は少ない代でより先へ、と遊び方に幅がある。

ローグライク的なハードコアアクションに相続でレベルアップとは非常にうまい組み合わせであると思った。これも相続税のかからないこの世界の社会構造のおかげであり、近代国民国家の生み出した最大の悪法たる相続税の撤廃を訴えかけるリバタリアニズムなゲームといえる。
冗談はおいといてもアクション好きから私のようなヘタクソまで幅広く楽しめる仕組みをシステム的にとても美しい形で作ったゲームなのであらゆる人におすすめできます。特に2Dアクションが苦手な人、たまにはこういうのもどうですか。
Posted 28 December, 2013.
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1,142.0 hrs on record (429.4 hrs at review time)
中世欧州ストラテジー。いわゆるパラドゲー。
ゲームの目的は自分の一族を主役として数百年続く歴史を作ること。

プレイヤーは1066年(ノルマン・コンクエスト)から1337年(百年戦争開始)までの期間から好きな日を選び、皇帝フリードリヒ2世からアイルランドの一伯爵まで数多の歴史的人物の中から好きな人物を選んで遊ぶことができる。パラドゲーらしい綿密な歴史考証に基づいており、事件などが記録されている日であれば一日単位で、そうでない場合も遅くとも一か月単位で史実における領地の変遷や人物の生死などが反映されている。
遊び方は当然ながら担当する勢力によって変わる。例えばドイツの封臣として皇帝の位を狙って宮廷闘争してみたり、スペインのどこかの国でレコンキスタしたり、逆にトゥール・ポワティエのリベンジと後ウマイヤ朝でフランスに攻め入ったり、ヴァイキングとしてまったり略奪を楽しんだり、ゾロアスター教国で実の妹と結婚してみたりと様々である(一部要DLC)。

このゲーム最大の特色は、個人を操作して一族の利益を求めるゲーム目的のため、簡素なイベント文などにもかかわらず非常に強い人間臭さを感じるところであろう。
中世において相続法は絶対であり、時には自然法にすら優先するので、王子を女系相続を認める国の姫と結婚させ、姫の男兄弟を全員殺害して姫に国を継がせることで2代後に国を乗っ取ったり、あるいは領地の半分を分割相続した弟を自らの手で殺めて正当な権利を自分のもとに取り戻すなど、この時代のえげつない人間的な営みがそのままゲーム的な利益に直接つながっている。ライバル国主から一廷臣までの一般的なAIも、ごく例外的な寛容な性格の人間以外は全員が全員、自己の利益を最大にするためにモラルをかえりみずあらゆる陰謀をたくらむので、世界は常に真っ黒である。個人的な興味としてはCK2の中世よりもEUやVicの時代のほうが好みなのだが、私がこのゲームを特別に好む理由はまさにこの点である。
他にもプレイヤーの担当が国家ではなく一族であることで、例えば国王を担当していたのに封臣に反乱を起こされたり選挙で負けたりといった形で王座から追い落とされるというようなことも起こりうる。ゲーム的には嫌だろうが、歴史的な観点からすればそこからの再起も含めなかなか愉快な話だと思わないだろうか。

こういった面白さはいかにもパラドゲー的であり、ファンに向けた話であれば特別に強調するほどのことではない。だがパラドゲー枠の中で本作の何より優れた点は、従来の「パラドゲー的」な作品とは違い、ゲームシステムやUIなどが極めて高いレベルに洗練されているところにある。システム的に微妙な点を我慢しながらどこか無理に楽しんでいるようなところが全くなく、純粋にゲームとしての娯楽性が高まっている。
同じく評判の良いEU4にはまだ手を付けられてないので比べられないが(申し訳ない)、それを除けばパラドゲーとして総合的に見て最高傑作と断言できる出来になっている。
Paradox社も成功作と見たか今もなおDLCやパッチでの更新が続けられており、Ironmanモード(リロード不可)とSteam実績に対応したのはつい先月のことである。このように今から始めても遅いことは全くない。

惜しむらくは初心者に勧めにくいことに日本語対応を欠いていることで、ローカライズを担当していたCF社は対応に遅れを残した状態でつい先日解散してしまったので今後も望み薄(合掌)。とはいえ文章は全てクリックによって読み進めるものなので時間をかけてじっくり読むこともできるし、多くのイベント文は結果だけ読んで選択してもゲーム的には問題ない。
その点を除けばパラドゲーファンはもちろんのこと、パラドゲー未経験、あるいは他の作品を好きになれなかった人にも心からおすすめできる作品である。DLCラッシュも落ち着き、パッチのバージョンが2.0を経てSteam実績にも対応という新しい段階に入った今だからこそ是非、幅広い層の方々に楽しんでいただきたい。
Posted 21 December, 2013.
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93.0 hrs on record (84.2 hrs at review time)
Early Access Review
マイン&クラフト&サバイバルなゲーム。
具体的には二頭身のノームたちに指示を出してマインしたり農耕牧畜したりして得た素材をクラフトして拠点を設営し、ゴブリンやアリの軍勢からサバイバルするというゲーム。
といってもサバイバル要素は一年目夏の最初の襲撃を乗り切れさえすれば(特別な設定をしていなければ)あとは何とかなるのでそれほど忙しいわけではない(そこまでが長いのだが)。
そこまでいったらあとは気分のままにマインしてクラフトするだけなのだが、この手のゲームの常で建築に凝り始めると時間がゴリゴリ削られる。

他のマイン&クラフト系ゲームと比べて、ゲームを理解する過程とゲームを遊びつくすまでの過程、言い換えれば一年目夏を生き延びるまでのサバイバル期間と、その後好き放題に自分の王国を立派にしていく期間でゲームの楽しみ方がはっきり分かれるのが特徴的。
サバイバル要素をより楽しみたければ時間経過で敵が強くなるオプションを入れれば(まだ試してないが感覚的に)かなり厳しいゲームになりそうなので遊び方にも幅があって良い。

欠点としてチュートリアルすらなく最初は何をやっていいか本気で分からなかったりとか、ユーザビリティ的に色々雑なところもあるのだが、建前的には未だα版ということになっているのでまだまだ改善の余地はある。
レトロなグラフィックの仮想空間でのマイカントリー創りに無為な時間を費やす行為に喜びを覚える人ならなかなか楽しめるはず。
定価8ドルのものを5ドルで買って100時間も遊べたので、自分の体験としては一作あたりの浪費時間としても時間あたりのコスパとしてもかなりの良作といえるゲーム。おすすめ。
Posted 1 December, 2013.
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137.2 hrs on record (131.0 hrs at review time)
エイリアン侵略ストラテジー。司令官となり秘密部隊を指揮してエイリアンと戦うゲーム。
ゲームとしてはターン制でユニットを動かしカバーを使って撃ち合う戦闘モードと戦利品で技術開発したり基地を発展させたりと更なる攻撃に備える基地モードに分かれている。
人類はあくまで侵略に備える受け身の立場であることからか基地モードはやることがパターン化してくる向きはあるが、戦闘の戦術性は(視界外の敵の移動処理など細かいところで粗はあるが)ストラテジーとして本物。
正直に白状すると難易度インポッシブルが本気でインポッシブルなので未だクリアできていないが、クラシックまでなら幅広い人を対象にゲームとしての楽しさとそれなりのチャレンジングを両立して遊べると思います。
エイリアンネタはちょっと……という人(俺)でもストラテジー好きなら楽しめるはずなのでおすすめ。
Posted 28 November, 2013.
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228.2 hrs on record (156.9 hrs at review time)
宇宙戦争を題材にした半リアルタイムのストラテジー。
一見忙しそうだが実際のところは無制限にポーズ可であって、じっくり考えて操作できるところが良い。
それでも判断を誤れば瞬く間に状況が悪化していくし、ポーズはできても巻き戻しはできないので絶妙な緊張感があって面白い。

経験によって正しい解を導く能力が上がっていく感覚はCivilizationなどの面白さに近いが、そこにローグライク的ランダム要素が上手く組み合わさっていてリプレイ性が非常に高くなっている(公式にはRoguelike-likeとされている)。
Easyで初クリア→Normalでクリアを目指す→新しい船をアンロック、船ごとに違った戦い方を楽しむ→スコアアタックや縛りなど、といった感じで段階に応じて遊び方がどんどん増えていくので、ハマれば100時間やっても終わりが見えないし、それほどストラテジー熱のない人でもNormal初クリアぐらいまで(10時間ぐらい)は楽しめるはず。

Civilizationの高難易度などと比べるとNormalでは明らかに簡単すぎるのでもう1個上の難易度が欲しかった感はあるが、1ラン2時間程度でどれだけ上手くクリアできるかという観点でもリプレイ性があるので今の状態がこのゲームとしてベストなのかもしれない。
ポーズ不可のハードコアモードとかそういうのを敢えて(?)追加しなかったところも正しい判断だと思う(リアルタイムが苦手な俺に優しい仕様)。

インディーらしく派手な表現からは縁遠いがそんなものはゲーム性には全く関係しない些末な点なので、気にせず純粋にゲームを遊べるストラテジストには心からおすすめ。
それほどストラテジーに入り込んでない人でも値段も手ごろだし10時間を目安に遊んでみてほしいゲーム。あとSlugがかわいいのでかわいいもの好きにもおすすめ。
Posted 10 November, 2013.
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15.7 hrs on record (15.5 hrs at review time)
80sマイアミギャングゲー。レトロなグラフィックと軽快なサウンドにノリながら大量虐殺するゲーム。
見下ろしアクション系だが攻撃を貰うと一撃死するので、aggro避けつつ効率よく処理できるルートを考えたりと割とパズル寄り。
アクションとしても判定が結構シビアだが死んでもペナルティなく気軽にやり直せるので、何度も死にまくりながらより効率的に人間を殺せるルートを探っていく感じでアクションが苦手なプレイヤー(私です)でもストレスがたまりにくい作り。
初見クリアで8時間程度、実績コンプ狙いなら20時間もあればいける手頃さも値段相応で良い。
チープなグラフィックからは想像しがたい無駄に難解なストーリーには少々閉口したが、話を気にしなくともゲームは十分楽しめるし、こういう雰囲気が好きな人もいるだろうしクリア後の謎解きが新たな楽しみになるかもしれない。ならないかもしれない。
ともあれ値段的にも手頃だし、単純な楽しみとしても一つの体験としても価値あるゲームなのでおすすめ。
Posted 10 November, 2013.
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20.6 hrs on record (18.7 hrs at review time)
禁酒法時代のギャングゲー。不動産を購入して闇酒場や賭博場を作ったり、競合業者を暴力でつぶしたりしてファミリーの勢力を拡大するゲーム。
同じ開発元のTropico 3/4と雰囲気は似ているが、ゼロからの町づくりはなく町運営ゲーであるところと独特な戦闘システムが異なる。
戦闘は速度順行動でカバーポジションを多用するタイプのストラテジーで、意欲的ではあるけど戦術性はあまり高くないし、育成の楽しみも薄く、結果は勝つか負けるかであって過程は関係ないので、慣れてくると厭になって自動解決で済ますようになる。
シナリオはTropicoと変わらず序盤から進行無視して稼ぎを安定させれば後は楽々なのが相変わらずアレだし、サンドボックスは元からある町並みにどういう施設を建てるかという違いしかないから何度もやり込めるとは思えない。
全体的にメタスコアがいまいちなのも納得の出来だし、ロビーに繋いでも滅多に人がいないのでマルチプレイ実績の獲得も今からでは難しそう。
ボスのイケメンっぷりぐらいしか売りがないが、雰囲気ゲーとして楽しめそうならどうぞ。
Posted 9 October, 2013.
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