今年遊んだゲームの中では一番楽しむことが出来た。
はっきり言って素晴らしい作品である。
サイバーパンクなディストピアに下ネタ猥談と、確かにニュースサイトやレビューの言う通り人は選ぶかもしれない。
だが、ぴったりと感性にハマればどっぷりと浸かることは間違いない。

去年の暮れにこのゲームの情報を聞いた。
昔のアドベンチャーゲームのようなデザインを見て心が踊った。
PVを見たら更に期待は膨らんだ。
静かなイントロから始まり、タイピング音が鳴り響く。
流れるサイバーチックな音楽に、表示されるレトロスペクティブな画面。
女の子からおっさんまで、個性豊かなキャラクターがたくさん。
バーの画面にジルの自室。謎の少女。
数十回はPVを見ていた。
しまいにはPVの音楽をmp3にしてPCにもスマホにも入れて聞いていた。
未だにA.Reneを聞くだけでPVが頭の中を流れていく。

だが自分は英語が読めない。
だから雰囲気がどんなに気に入っていてもカートに入れるというボタンを押すことはなかった。

それからしばらく経った。
とある掲示板を眺めていたらVA-11 Hall-Aの日本語化についての情報が書かれていた。
やり方は他のソフトが必要だったりと、ややこしく難しいものだった。
だが自分は日本語になってこのゲームに触れることが出来るのならばどんなことでもやるつもりだった。
早速購入し、日本語化に取り組む。
たしかに難しく面倒だった。
だが最後に起動しジルの言葉が日本語で表示されたときは得も知れぬ感動を覚えた。
そのままプレイした。
PVを見続けていた時のワクワクとドキドキはそのままゲームにも引き継がれることとなった。
当初はカクテルを2倍で出す方法やカルモトリンの量なんかはよくわからなかったし、
日本語化されているのはバー会話部分だけだったからカクテルのフレーバーテキストやジルのタブレットに何が書いてあるかはわからなかった。
それでもとても楽しかった。
コンシューマ化されると聞いたときはこの猥談はどう処理されるのか心配だったくらいに。
（結果的にそれは杞憂で終わるのだが）

主人公であるバーテンダー・ジルの仕事はバーテンダーである。
だからカクテルを出す。
そして客たちの話を聞く。
ジルの答えは彼ら彼女に答えを見つけさせ、元気をくれる。
そして、やがてはジルも彼女自身の問題と向き合っていく……。

ジル達が直接大きな事件に巻き込まれて陰謀を解決していくなんてことはない。
全ては舞台であるバー・VA-11 Hall-A（ヴァルハラ）とジルの部屋で始まり、終わっていく。
問題だってあるものの、それかがゲーム中で全て解決するわけでもない。
ただ、登場人物たちのわだかまりは、解けていく。
そんなゲームだ。

とりとめのない文章になってしまったが、自分自身、できるだけ多くの人にこのゲームを遊んでほしいと思っている。
公式日本語化が来て、今は誰にでも遊びやすくなっている。
コンシューマでも遊ぶことが出来る。
そして、少しでも心に何かが残ったのならば、一ファンとして嬉しく思う。