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0.0 hrs last two weeks / 10.8 hrs on record (10.5 hrs at review time)
Posted: 18 Jul, 2015 @ 5:03am
Updated: 11 Dec, 2016 @ 10:59am

※DLCまでひと通りクリアしたうえでのレビューです

■概要

狂気と暴力に満ちた精神病院内をビデオカメラで記録しながら、施設からの脱出を目指す一人称アドベンチャーです。

プレイヤーの取れる行動は限定されており、武器はなく、狂人に追いかけられ、危害を加えられても一矢報いることはできません。

真っ暗な通路や部屋が多く存在し、視界を取るためにはカメラの暗視モードが使えます。ただし暗視モードはバッテリーを消費するため、補充用バッテリーは道中で調達する必要があります。

脱出ルートを探す道すがら、主人公が自分の置かれた現在の状況を主観的に走り書きしたメモや、患者の観察記録を中心としたドキュメントを取得できます。

これらの資料は、ゲーム内で起こる事象や登場するキャラクターのバックボーンを説明する役割を担っており、ストーリーの全容を推察する一助となります。

■演出・ゲームプレイ

狂人がうろつく夜の閉鎖病棟を探索するシチュエーションホラーを楽しむことができます。

壁を隔ててすぐそばで聞こえる足音、鍵のかかったドアを無理矢理開けようとする音、遠くからかすかに聞こえる誰かの悲鳴、平静を失って荒くなる主人公の息遣い、いたるところに転がる損傷死体や人体の一部、串刺しにされた警備員、暗がりに佇む目的不明の患者など、危機的状況を煽り立てるような効果音やBGMと、臭気さえ感じさせるような強烈なビジュアルは、異常事態の起きた精神病院という舞台の雰囲気作りに貢献しています。

また、逃げることしかできない限定されたアクションと、暗所における視界を失うまでのタイムリミットを示すカメラバッテリー残量という要素も、緊張感を途切れさせないための一工夫と言えるでしょう。

システム上のマップはなく、マップは最初から最後までほぼ一本道ですが、秀逸な演出によって、ここから先に進みたくない、でも進まないとどうにもならない、と思わせる雰囲気づくりに成功しており、多少の粗は気になりにくいように感じました。たまにスタックするのは気になりましたが……。

ゴア表現も売りの1つですが、たまに脈絡なく内蔵が落ちていたり、人の力ではなしえないほど人体が破壊されていたりと、やや過剰さを感じる部分はありました(一応、作中で直接の言及はないものの、その理由を推察できる材料は用意されています)。

■その他

終始サイコ野郎に追いかけられ、いかにしてそこから逃げ延びるかのプロセスを楽しむのが本タイトルの醍醐味だと感じました。それだけに、本編終盤の展開は賛否両論あるかと思います。私はそういうものだと割り切ることにしました。

また、今後普及が期待されているVRヘッドマウントディスプレイと相性の良いコンテンツだと思います。リプレイ性はないゲームですが、今後もしそういったデバイスに対応したエディションがリリースされるならば、内容が同じであってももう1本購入することはいとわないでしょう。そのくらいよくできたゲームです。
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