Mirage: Arcane Warfare

Mirage: Arcane Warfare

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ミラージュの背景世界(Mirage Lore in Japanese)
By Leoward
ミラージュの世界背景を翻訳したものです
   
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導入映像
第一章:大変動
ナンクール国
―古代の文明が滅び、ミラージュの創世が始まる―

 ナンクールの古代人は、ナバン川の沿岸に諸国家を興した。しかし大侯同士が争い、時代は暗く、飢饉と苦役も人々を苦しめつづけた。バシュラーンの神話によると、ナンクール人は四つの元素、エーテル、サルファー、ソルト、マーキュリーを信奉したことが認められる。彼らはナバン川の水を神聖視していたが、それは四天界の水がナンクール山を経由し、下りてくると信じられていたからである。ナンクール山と四天界に近づく者は、まれにディムと呼ばれる精霊に遭遇した。その頃、精霊たちは絶滅したとも思われていたようだが。
 ディムはジンアイという名前の別世界に住む、霊的な存在として信じられていた。しかし、それはジンアイとディムの謎が明らかになるまでの間だけである。とは言うものの、古くからナンクール人は、ディムの目撃を死の前兆として恐れていた。

―四天界への通路と考えられていたナンクール山は、ディナー創世で崩壊した―

ディナー創世
―二つの世界が衝突し、国家の未来が形作られる―

 ナンクールにおける最初のアルケミスト、ディナーという女は、ナンクールの大侯ケールを愛していた。しかし、ケールが敵の大侯に殺されたとき、彼の領地は征服され、ディナーはナンクール山まで逃れた。そこで四天界の門に近づいたとき、強力なアルケミストだった彼女は、ケールの面影をもつジンアイの霊を見つけた。そして、彼女は彼を恋人の亡霊だと考え、落胆した。
 自暴自棄になったディナーは、とてつもない魔法を発動した。それは、類を見ないほどすさまじいものであった。彼と彼女の世界が結合され、ディナー創世と呼ばれる、大きな変動が誘発されたのである。アルケミストのディナーが放った魔法は、あまりにも強力だった。したがって、人がそれを操ることはかなわず、ナンクールの住人は大きな被害を受けた。
 この現象はディナー創世をもたらし、バシュラーンの世界に新しい秩序が成立した。ディナーが亡き恋人に似た、ジンアイの霊を救出しようとしたとき、ディナーの魔法は変動の原因となった。その結果、ディムの世界と生者の世界が衝突し、ひとつになったのである。
 ナンクール人が四天界だと思い込んでいた場所は、まったく違うものであった。彼らバシュラーン人は同じように時間が流れ、人びとが生活する、もうひとつの現実世界と対面したのである。バシュラーン人は、この領域をシャイルームと呼んだ。ナンクール人が幽霊だと信じていたディムは、実際に別の場所で生きていて、人と同じ社会を築いていたのである。バシュラーンに住む人びとにとって、彼らはジンアイとして知られている。
 ディナー創世は、生者の領域とシャイルームを衝突させた。しかし、衝突で被害を受けたのは、人の領域だけではなかった。ナンクールの都市だけでなく、シャイルームも荒廃したのである。ナンクールの崩壊は、バシュラーンの建造物にも影響をおよぼした。
 ディナー創世の爪痕は、八百年の歳月を経た現代でも、人の領域に残っている。空に浮かぶ大量の輪は、シャイルームが人の領域に穴を開けたことを示す、物理的な証拠だ。エーテル海の霧とジンによる魔法の干渉も、同じく裏づけといえよう。アルケミストのディナーが魔法を発動し、変動が起きたことで、彼女のいたナンクール山は砕け散った。それ以来、山の一部だった多くの神聖な岩が、宙に浮かんでいる。
第二章:バシュラーンの台頭
ジンアイの有用性
―ナンクールの人びとはジンアイの霊を、驚異的な能力として利用する方法を学んだ―

 ディナー創世がおきるまえ、ジンアイは人と同じように暮らしていて、ときに愛され、憎まれ、恐れられ、求められた。しかしそれは、異世界として知られる領域、シャイルームの中においてである。ときどき、ジンアイは生者の世界に流れ着き、ナンクールの人びとに目撃された。その場合ジンアイはディムとして、肉体とは切り離された、煙のない炎といえる姿をとっていた。ディナー創世がおきて、ジンアイのいた世界が崩壊したあと、彼らは非物質的な姿のまま取り残された。

 バシュラーンの上空に見られるいくつもの輪は、異世界があることの物理的な証拠である。輪の穴は、実際にシャイルームに通じる経路の一部といえよう。アルケミストのディナーが放った魔法により、異世界と人の世界が衝突したことで、このような景色が見られるようになった。

 二つの世界が衝突した結果、落下してきた魔力を宿す石は、マリン石と呼ばれている。これらの石は、ジンアイを内包していた。バシュラーン人の多くが、生者の世界により多くのマリン石をもたらす、魔法の使用を懸念した。なぜなら、石はジンアイの霊を宿しているからである。そして、シャイルーム人は人の住む領域に、異世界から次つぎと現れた。

 ジンアイには自分の人格がほとんどなかったが、人と親しみ、家族的な関係をもった。その結果ジンアイは、人の命令に従うように仕向けられたのである。この関係は、人がジンアイの魔力にもとづき、力を引き出すはじまりとなった。さらにそれは、バシュラーンと反乱軍ことアザル党が、争いをおこす要因にもなった。

 多くの土地が、ディナー創世による大変動で破壊されたため、世界の再建は困難なものだった。ここでジンアイは、破壊者であるだけでなく、救済者でもあることを証明した。もしも精霊が使役されていなければ、生者だけでは復興ができなかっただろう。ナーンクルがもつ魔法の知識は、感謝すべきものであった。それによってジンアイの力が活用され、平均的な人間たちの能力が、大きく増幅したからである。バシュラーンの都市国家は新しく発見された力のおかげで、またたくまに再建された。

 ジンアイには、四つの元素を操作する能力があった。それら元素とはエーテル、サルファー、ソルト、マーキュリーのことである。ジンアイはこの理由により、望みを実現させるために利用された。魔法の実践は、ナンクールの宗教においては自然なことだった。ディナー創世がおきるまえのナンークルでは、すべての人びとが魔法を利用していた。
 当時のアルケミストは、魔法で結果をおこすことができなかったが、四元素の神がみに関する知識をもっていた。アリーはエーテルの神であり、エシュはサルファーの女神であった。サムはマーキュリーの神であり、バルはソルトの女神であった。
 ディナー創世がおきたあと、アルケミストたちはディナーに付き従い、ジンアイから力を発生させた。そしてこの革新にもとづいて、バシュラーン国を台頭させようとしたのである。魔法の利用は、現代では日常的となった。サルファーの明かりが家を明るくし、エーテルによる昇降機は、都市に水を供給している。

 魔法には、行使者とジンを結びつける働きがあった。バシュラーン人は、ある目的から、ジンアイの宿るマリン石を収集している。それは石を塗料に加工することと、それで自分たちに入れ墨を彫るためである。ジンアイとのつながりを、より強く深めたい者たちは、肌の中に溶かしたマリン石を入れなければならない。しかしその行為は、ほとんどのバシュラーン人に卑しく思われるため、断念されることが多い。

―ナンクールの灰から台頭した、バシュラーン市。バシュラーン侯国の主要な行政機関は、ジンアイを隷属化し、働かせたことにより発展した―

バシュラーンの台頭
―ディナー創世のあとに、バシュラーンの都市国家が成立する―

 ディナー創世により、ナンクール王国は埋もれてしまった。そして、その灰の中から、バシュラーンが生まれた。生きるために学ぶ人びとの人口は、ジンアイとともに増加し、ジンアイの有用性が広く知られた。ジンアイは錬金術の実験と理解に革新をもたらし、開発された技術は経済を大きく発展させた。時とともに、アルケミストたちのあいだでは、ジンアイをどのように利用すべきか、意見が割れるようになった。
 ある人びとはジンを肉体に取り入れ、彼らと共生することが、最適な方法だと考えた。ジンアイは自由意思をもつ霊体であり、貴重な存在であることから、消費すべきものではなく、協調に値するとして。このような集団の肉体と精神は、恒久的に変化した。物理面の影響により、彼らがもつ肌の色は青白くなった。それは、人がジンアイの宿主になったことを、示すものである。精神面での影響は、彼らの精神に宿る、超越性が引き出されたことである。
 宿主たちはジンアイだけが、このようにエーテルの神秘を生じさせると信じた。彼らは神秘的な知識を獲得したことによって、宇宙のかなたを旅できるようになったのである。

 この体験は、アザル党の記す哲学の元となった。この組織は、バシュラーン人の上流階級による統治がおよばない、都市の外にいた、大人数の浮浪者からなるものであった。アザル党が使用する魔法は、彼らとバシュラーン人の市民たちとのあいだに、社会問題を引きおこした。アザル党のもつ倫理観によって対立が生まれ、ジンの扱いに熟練した、反逆者たちの人数が増加した。

 アザル党のもつ哲学とは反対に、バシュラーン人はアザル党の行いを、精神と肉体の堕落だと考えている。ジンアイの影響により、堕落したとみなされる人びとのことを、バシュラーン人は信用しない。
 アザル党は、ジンアイによる精神面での影響を否定しないが、ジンとの交わりは、霊性を改善するものだと信じている。ジンと協力関係を結ぶ人びとは、この関係が本当に変化させるものは、肉体ではなく精神だと考える。感覚をもつ二つの精神を、宇宙において融合させることが目的だ。
 ジンアイを肉体と完全に合一させた者たちは、ジンがもつ、宇宙的な知識を獲得できると信じている。そしてそれは、四つの元素とそれらを司る神がみについて、理解することでもあるそうだ。この知識は言語化できないため、ジンの相方となった者たちは、宇宙の性質を精神的なものだとみなす。結果として、彼らは自分たちが、宇宙とほとんど同化したと考える。
 したがってアザル党は、自分たちを進歩した存在だとみなす。そのため彼らは、ジンを同伴していない、無知な人びとを救おうとしている。

 肉体と精神の堕落とみなされながら、知識を獲得する行為の代償を、大きなものだと感じる者たちもいた。そのような人びとは、ジンアイを宿すマリン石の塗料による入れ墨を、実際の体にではなく、肌の外側に彫った。こうすることで、安全な距離を保ちながら、魔法を使用できたのである。
 なぜ肉体をもたない霊体に対して、自分の肉体と精神を、犠牲にする必要があるのだろうか。バシュラーン人は、ジンとの関係性を共生とは考えず、人への寄生として不潔なものとみなす。そして、自由に外せる入れ墨は、本物の入れ墨よりも優れていると考える。なぜなら、必要のないときに、ジンアイの不潔さを取りのぞくことで、肉体の内部を清潔に保てるからである。

 清潔に保つという手法は、ジンアイと共生する人びとにとって、冷淡なものに見えた。感覚と自由意思をもつジンアイを、粗雑な入れ墨で閉じめることは、ジンの侮辱と隷属化に他ならないからである。ジンアイを仲間ではなく、道具とみなすことは、ジンとの共生者たちに嫌悪感を抱かせた。
 見解の相違は両者のあいだに緊張をもたらし、バシュラーン人というポプラの木が、修復できないほど引き裂かれた。そして、大規模な戦争の種が植えられたのである。
第三章:戦争
分裂
―バシュラーン人の支配階級は、市民たちに魔法の扱い方を制限した。そして、彼らと対立していたアザル党は、反乱をおこした―

 かつてジンアイの魔法は、ディナー創世により崩壊した世界を復興し、バシュラーンの幻想的な都市国家を築かせた。しかし、それは今、ナンクールの歴史でもっとも大きく、血生臭い戦争を引きおこそうとしていたのである。

 初め制御派と抱擁派は、社会がジンアイと、どのように接するべきかについて論争した。結果として魔法戦争がおこり、国家は引き裂かれた。

 戦いはバシュラーン市における、社会的な抑圧が原因で始まった。制御派は体にジンアイを取り込んだ人々を、社会から追放した。これらの抱擁派は、都市から出ていかされ、砂漠と丘陵、ならびに山で暮らした。
 バシュラーン摂政に雇用された豪傑たち、タウラントの警備兵に任務が与えられた。それは抱擁派の方法にもとづき、ジンを扱う者たちの駆逐である。怪力をもつ戦士たちは危険な存在だったが、暗殺者であるヴァイプレスは、彼らの撃退に成功した。

 バシュラーン人に不潔と見られる抱擁派は、変色した肌をもっていた。それは彼らの信条を表すものであったため、路上では人びとに避けられた。抱擁派がもつ肌の色は、世間からつまはじきにされる原因となり、彼らの姿は病気と呼ばれた。バシュラーン市から追放された抱擁派は、 ナンクール山の影がかかる谷間で、自分たちだけの社会を作りあげた。

 現在のバシュラーン市内では、制御派の方針だけが許可されている。ジンアイの操作には、マリン石の塗料を使った、入れ墨が利用される。マリン石の収集は、ジンを捕獲して報酬を稼ぐ、エントロピストたちによって行われてきた。より多くの成功が、より多くの富を彼らにもたらす。
 魔法を使うために、マリン石の中身を操作する方法は、アルケマンサーたちが得意としている。彼らは誰よりも魔法に長けた、危険な存在であるが、バシュラーン大学に所属しており、ジンアイの研究も行っている。

 追放された者たちはアザル党と名乗り、ナンクール山の崖にある、秘密の洞窟に手を加え、住み着いた。その場所には、バシュラーンの支配層による監視がおよばなかった。そこでアザル党は、ジンアイを体に取り込むことができ、相方の精霊がもつ力を使用しながら、働いた。アザル党の構成員たちは多く集まり、いくつもの新しい発見を分かち合った。しかし孤独を好む者たちは、ジンアイとともに、洞窟の深部まで下りていった。
 一般にアザル党は、バシュラーン人による過剰な建築と、ジンの軍事利用に難色を示した。アザル党は受け継いできた領域に、質素な生活に合う、地味ながらも快適な居住空間を作った。それらは、バシュラーン市で見られるものとは対照的であった。市内には、高度な工学技術にもとづいて作られた、豪勢な宮殿と迷路のような市場があったからである。
 洞窟と古い寺院には、ティンカーという浮浪者たちがいた。この若者たちは、商業地区で生まれた孤児でもある。ティンカーたちはジンアイを扱う、実践的な工業技術に長けており、密かに暗い谷間で、アザル党の飛び領土を作ってきた。

―アザル党は、都市の外にある砂漠と山まで逃げた―

内乱
―二つの勢力、バシュラーン侯国とアザル党のあいだで、壮絶な戦いが始まった―

 バシュラーン侯国とアザル党が争う理由は、二つにまとめられる。まず挙げられるのが、精霊であるジンアイの利用に関する、哲学的な問題である。ジンを征服あるいは共生すべきかが、争点となっている。
 もうひとつは、ジンから生まれた資源の管理をめぐるものである。ジンアイの霊はマリン石に内包されており、両陣営が超人的な力を引き出せる。マリン石をより多く所有することは、ジンアイの力を、より多くもつことと同じである。

 抱擁派のジン使いが都市から追放されたあと、バシュラーン侯国とアザル党は戦争を始めた。両陣営が、相手を滅ぼすまで戦うつもりであり、ジンアイとバシュラーンの運命を決めようとしている。

(以下は両陣営の紹介で、翻訳中です)
固有名詞一覧
《あ》:アザル党(Azar Cabal)、アリー(Ari)、アルケマンサー(Alchemancers)、アルケミスト(Alchemist)
《う》:ヴァイプレス(Vypress)
《え》:エーテル(Aether)、エーテル海(Aether Sea)、エシュ(Esh)、エントロピスト(Entropists)

《け》:ケール(Keer)

《さ》:サム(Sam)、サルファー(Sulfur)
《し》:四天界(Four Heavens)、シャイルーム(Sha’ilum)、ジン(Jinn)、ジンアイ(Jinnaye)
《そ》:ソルト(Salt)

《た》:大侯(Warlord)、大変動(Cataclysm)、タウラント(Taurant)
《て》:ディナー(Dinah)、ディナー創世(Dinahn Genesis)、ディム(Dim)、ティンカー(Tinkers)

《な》:ナバン(Naban)、ナンクール(Nankur)、ナンクール山(Mount Nankur)

《は》:バシュラーン(Bashrahn)、バシュラーン侯国(Bashrahni Emirate)、バシュラーン摂政(Bashrahni Regency)、バシュラーン大学(Bashrahni Academy)、バル(Bar)

《ま》:マーキュリー(Mercury)、マリン石(Marinstone)
《み》:ミラージュ(Mirage)
備考
原文:https://forums.tornbanner.com/topic/25677/mirage-lore
固有名詞カナ表記の参考(ペルシア語と推定):http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~5jimu/books/PDF/persian_kana.pdf

私は日本語も英語もぜんぜんできません。
誤訳は多いと思います。原文もお読みになることをおすすめします。
私はより良い翻訳を行いたいので、文章も翻訳も、間違いがあればぜひご指摘ください。
2 Comments
Leoward  [author] 29 May, 2017 @ 8:22am 
Thank you for Torn Banner Studios released this great game
I've enjoyed this fantastic story. And I love beautiful Arabian Nights-like art in game
Reiður 29 May, 2017 @ 6:05am 
Thank you for translating!