Oda
 
 
花は桜木、人は武士
散り様までも華々しくあれ!
光 の 詩
生と死の狭間に己を笑い恍惚として自ら忘るる
されば夜明けの嘆きを鐘に神曲の幕よいざ上がれ

奇跡を行う聖人は衆生を救い神を呪って嘔吐する
黄金の兜の覇王は万里を征し愛馬と共に川底へ沈む
湖の美姫は国を捨て愛を選び糞尿に溺れて刑死する
孤赤児は蚯蚓の血を母の乳とし三夜して腹より腐る
生命よこの賛歌を聞け笑い疲れた怨嗟を重ねて
生命よこの祈りを聞け怒りおののく喜びを枕に
百年の生は炎と剣の連環が幾重にも飾り立てよう
七日の生は闇と静寂に守られ無垢に光り輝くだろう
獣よ踊れ野を馳せよ唄い騒いで猛り駆けめぐれ
いまや如何なる鎖も檻も汝の前には朽ちた土塊

生と死の選択を己に課す命題として自ら問う
されば嘲笑の歓喜する渦に喜劇の幕よいざ上がれ

嵐の夜に吼え立てる犬は愚かな盗賊と果敢に戦う
温かい巣で親鳥を待つ雛は蛇の腹を寝床に安らぐ
木漏れ日の下で生まれた獅子は幾千の鹿を飽食し
せせらぎを聞く蛙の卵は子供が拾って踏みつぶす
生の意味を信じる者よ道化の真摯な詭弁を聞け
死の恐怖に震える者よ悪魔の仮面は黒塗りの鏡
生命に問いを向けるなら道化と悪魔は匙を持ち
生命を信じ耽溺するなら道化と悪魔は冠を脱ぐ
獣よ踊れ野を馳せよ唄い騒いで猛り駆けめぐれ
いまや如何なる鎖も檻も汝の前には朽ちた

生と死の狭間に己を笑い恍惚として自ら忘るる
されば夜明けの嘆きを鐘に神曲の幕よいざ上がれ
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