3
Products
reviewed
0
Products
in account

Recent reviews by zama

Showing 1-3 of 3 entries
5 people found this review helpful
1.0 hrs on record (0.5 hrs at review time)
リミナルスペースをテーマにしたゲームはいくつかありますが、『PARALLEL RIFT』はそこに四次元的な視点を加えた独特の雰囲気を持っています。映画『インターステラー』のような、現実とは少し異なる理屈で成り立つ空間に迷い込んだような「落ち着いた高揚感」があり、不思議さと静けさが共存するのが特徴です。

ゲームプレイはシンプルで、パズル要素も比較的優しいため、幅広いプレイヤーが楽しめる作りになっています。ただし、三次元移動と四次元移動を同時に扱う場面もあり、通常のパズルゲームとは異なる感覚を味わえるのが面白いところです。リミナルスペースの雰囲気と四次元的な要素がうまく組み合わさっており、それぞれの要素が相乗効果を生んでいます。

派手さはないものの、静かに没入できる作品です。不思議な場所を歩きたい人、リミナルスペースの雰囲気が好きな人や、普段とは少し違う視点で空間を捉えるゲームに興味がある人に、一つのいい思い出を作ってくれるはずだと感じました。
Posted 13 March.
Was this review helpful? Yes No Funny Award
14 people found this review helpful
5.4 hrs on record (4.6 hrs at review time)
こんな人におすすめ
  • 意地悪なアクションゲームに興味がある
  • 謎の多い世界観に惹かれる
  • 「Wings of Glass」が好きだ

傑作「Wings of Glass」のシステムと世界観を使用して作られた短編ジャンプアクション

同じ開発のゲーム「Wings of Glass」から基本的な仕様を引き継いでの新しいゲームとなっており、「Wings of Glass」を先に遊んでいるとより楽しめると思います。
全体的に難易度が高めで、些細な地形判定の作り、ジャンプに関する小さな仕様などを利用した意地悪な問題集といった趣のため、好みは分かれるかと思いますが、「Wings of Glass」を遊び終わって物足りない、もう少し遊びたい、と思った方は間違いなく買って損はない出来です。
プレイに当たっての全体的な情報量の少なさも「Wings of Glass」譲りのため、この作品から遊ぶと少しだけ戸惑うかも知れません。独特な信念によってデザインされているため、慣れる必要がありますが、楽しいゲームです。

ただし「Wings of Glass」とは異なり、特殊なギミックを利用したパズルはありませんし、成長要素もありません。「どこからどのようにジャンプすると行きたい場所に行けるのか」を考えるゲームに全編を統一しており、潔さがあります。
ですが単調かというと全くそんなことはなく、各ステージでプレイヤーに課せられる考え方、操作のコツなどがはっきり変わるため、飽きずに全ステージを巡ることができました。

特に気に入った点として、課題を解いては先に進むという展開ながら、「どの順番で解いてもよい」「辿り着き方に複数の経路がある」「全問解く必要はない」などいわゆるリニアゲームっぽい閉塞感を感じさせない、広がりのあるゲームデザインになっており、プレイに当たって楽しく接することができました。

なおモンスターとの戦闘が可能ですが、モンスターの攻撃を何度受けても死ぬことはなく、ダメージモーションによってタイムロスが生じるだけですので、タイムアタックに挑戦しない限りは戦闘に特に意味は感じられませんでした。まれに足場から落とされることもあるかも知れませんが、意識するほどの頻度ではないと思います。

ストレスに耐性のあることが分かっている「タイムアタック好きの人」以外にあまりストレスをかけない仕様と考えると、これはこれでありなのかなと思います。自分としても戦闘抜きで結構苦労したため、これに敵との戦闘をプラスしていたらかなり辛い思いをしたかも知れません。
モンスターを無視しても、充分ゲームとして成立していますし、「Wings of Glass」では主人公に協力してくれたクモのモチーフが、今回は敵対して登場しているところ自体に面白さを感じます。

あと個人的に非常に楽しかったのが、オープニングデモ、そしてステージクリアごとに観ることが出来る2Dデモです!
とにかく可愛く、「セリフがない」ため意味深な謎を含んでおり、色々な方向から楽しむことが出来ます。

優れた点
  • ほぼジャンプだけで進む、変幻自在のアクションギミック
  • 圧倒的な色彩センス
  • 可愛すぎるキャラクターたち

困った点
  • まれに壁や床をすり抜けて落ちることがある

Posted 6 February, 2020.
Was this review helpful? Yes No Funny Award
20 people found this review helpful
1 person found this review funny
19.6 hrs on record (12.7 hrs at review time)
こんな人におすすめしたい

  • ゲームのスクリーンショット撮影が好き
  • かわいい女の子が好き、エロが苦手
  • 謎めいた世界観が好き
  • 短編の謎解きゲームが好き


優れた点

  • アートワークの素晴らしさ、またそこにかける信念を示す数々の仕様
  • 絶妙な難易度の謎解き
  • 軽快、スピーディーなアクション
  • 表情豊かな主人公のモーション
  • フォトモードの存在
  • プロフェッショナルを感じるBGM
  • ステレオタイプから脱却した視点の物語

困った点

  • セーブされるタイミングが分からないため、どこで中断するか判断しづらい
  • 蜘蛛が足に備わることが伝わりにくく、蜘蛛が能力を持っていることも伝わりにくい
  • パッドではキー割り振りがめちゃくちゃになるため、事実上、パッドが使用できない(XBOXパッド未チェック)
  • デフォルトのキーバインドではしゃがみのShiftキーと、メニューを開くESCキーを同時に押すことでゲームが強制終了するため、しゃがんだ姿をフォトモードで撮影しようとすると悲劇が起こる



------------------------------

既にシンプルかつ機能的に本作を解説するレビューは沢山ありますし、そのどれもが素晴らしい書き上がりですので、こちらはより詳細・特殊な観点で掘り下げるレビューとさせて下さい。


ゲームとしての標準的な説明

ゲームの基本的なスタイルは、どうしたら先に進めるのかを考える「謎解き」になっています。
いわゆる敵モンスターも登場しますが、ごく一部にギミックとして出てくるだけで、戦闘して倒すという流れは一貫して登場しません。

低価格で、個人開発者によるゲームのため、まず気になるのはゲームとして良質かどうかの部分になってくる人も多いかと思います。
結論としてこの「謎解きゲーム」は非常に良質で、「もうこのギミックは慣れたな」と「何だ、どうすればいいんだ」を繰り返し楽しめるように絶妙に組み立てられています。


一切が目に映るままの世界

このゲームを語る上で重要な点に「一切GUIが表示されない」という点があります。

GUI、要するに体力ゲージや所持アイテムを表示するウィンドウ、拾えるアイテムに近づいたら「拾う」等のガイドが表示されるといった要素が徹底的に排除されており、画面には主人公が現実として見ているものしか表示されていません。
残りの体力は表題にもなっている「玻璃の翼」の明かりがいくつ残っているか、また主人公の様子で判断することが出来ます。

進行状態の保存手段がオートセーブしかないにも関わらず、オートセーブ中という表示がないところまで徹底しており、正直これはどこで中断したらいいのかという意味でちょっと困りましたが、何にせよこのゲームは「アートを楽しんで欲しい」という気持ちが強烈に伝わってくる作品になっています。

ガイドがないため、「何をすればいいのか」をフィールドの中から見たままに推測していく必要が出てきます。
この過程が非常に楽しいゲームになっており、GUIが無いというアートスタイルが、謎解きゲームというシステムにしっかりと繋がっています。

BGMも主張が弱いため攻略に詰まって繰り返し聴いていても耳に煩くなく、かつ空気感が伝わる旋律が印象的な、素晴らしい仕事になっています。


フォトモードがあるということ

購入以前、公開されているトレーラーに衝撃を受けました。未見の方はぜひ見て頂きたいです。
本作の開発技術レベルは、総合的にはあまり高くないことが、トレーラーからも判断できます。開発リソースが少ないことが見て取れる、と言い換えてもいいでしょう。ですが、だからこそアートワークへのこだわり、強烈さが真っ直ぐに伝わってきます。

独特だが計算にしっかりと支えられた色使い、パズルギミックとして複雑に成立しつつアートとしての位置関係を組み込まれたオブジェクト配置、キャラクターの一挙一動へのフレーム単位でのこだわり。こうしたアートワークへの工夫が結ぶ構図の完成度。
それらを殺さないためにGUIの徹底排除があり、そしてその極めつけがフォトモード機能にあります。

自分は写真撮影が好きで、フォトモードが付いているゲームが好きです。
だからこそ、フォトモードの実装を避けているゲームが沢山あることも知っています。
フォトモードというのは、停止した時間の中をカメラだけで自由に移動して撮影が可能な機能のことで、「エフェクト含め全てのオブジェクト、内部処理の時間を完全に停止させること」「カメラが自由に移動しても破綻しないこと」「その機能を想定外の攻略に転用できないようにすること」などをある程度は保証する必要もあって、プレイ体験に関係ないからと後回しにされがちな機能ではあるのでしょう。

それを個人開発のゲームが実装しているという点に、強い信念を感じました。
「何を楽しんで欲しいか」がまずあって、そこに妥協しない作り手の作品なのだという安心感があります。

よりよいスクリーンショットを撮ることを楽しむプレイヤーとしては、フォトモードは年々アートワークの表現力が向上していくデジタルゲームと、SNSの普及したプレイヤーコミュニティにおけるメインコンテンツ、プレイ体験のひとつだと思っていますので、フォトモードの存在は本当に嬉しいところです。


Kawaii

おしゃれでかわいいゲームです。
エロスはアクセント程度に収まっており、おしゃれでかわいいの範囲でセクシーで、アート感のある本作のバランス感覚は見事です。
アダルトなビジュアルのゲームも好きですが、こういったビジュアルの作品ももっと増えて欲しいと切に思います。


主人公の目線

謎解きとアートという2つの要素に掛けられている仕様として、地味ですが「謎解きに必要なオブジェクトが近いと、主人公がそっちに目線を送る」というものがあります。
これは一応ヒントにもなりますし、同じポーズでも目線が違うと撮影の際に印象が変わります。これは小さくも重要なアイデアでした。
主人公の「黄色く輝く目」は印象的で、惚れる要素の一つです。


スパイダーガール

ゲーム中に登場する蜘蛛に触れると、蜘蛛は足にしがみつき、特殊な能力を発揮します。
詳細には触れませんが、蜘蛛に関してだけは致命的に説明が不足していて辛いことになったりするため、最低限の説明として、
「黄色い蜘蛛は浮力を持つ」
「青い蜘蛛は重力を持つ」
という大雑把な観念だけここに記しておきます。
1匹よりも2匹が取り付いている時のほうがこの特性は強く発揮され、異なる効果を帯びます。

それより何より、この蜘蛛が可愛いことと、足に取り付いてブーツの装飾のようになるセンスの良さに注目して頂きたい。


リアルなイノベーターたち

謎めいた物語も独特な構成で、「工場で働く女の子たち」という、斬新なテーマを持っています。
工場労働というと辛い、安い、つまらない、みたいな雰囲気に語られがちですが、いかに改善しようとか、こういう能力があるからこういう仕事を任せて欲しいとか、ポジティブな感触で描かれており、ステレオタイプな「ゴツゴツのおっさんたちが酒で誤魔化しながらつらい日々をやり過ごす」的ムードとはかけ離れた、工場という社会装置のあまり知られない側面を見ているのが嬉しいです。
物語上のヒロインの「塩」――Salt、を和訳した結果でしょうか、ちょっと日本人の感性からいうと違和感のあるネーミングですが――の手記が大好きです。

また、邪悪そうな見た目の敵が、道理的に正しい主張をしながら自分を追い詰めてくるのも、非常に印象深い体験を作っています。



以上、非凡で強力なこのゲームの魅力について、長々書かせて頂きました。
特にスクリーンショットを日に何十枚も撮るような方は、問答無用でぜひこの作品に触れて欲しいと思います。
この物語はまだ完結していませんので、続編も本当に楽しみにしています!



Posted 28 January, 2020.
Was this review helpful? Yes No Funny Award
 
A developer has responded on 31 Jan, 2020 @ 7:43am (view response)
Showing 1-3 of 3 entries